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海老原 健一; 岩本 隆*; 三輪 則暁*; 山田 紘樹*; 岡村 司*; 漆原 亘*; 大村 朋彦*
「水素脆化研究の基盤構築」研究会報告書, p.21 - 26, 2013/10
応力腐食割れの1つの原因である水素脆化の機構の理解に資するために参加した日本鉄鋼協会の「水素脆化研究の基盤構築」研究会では、鉄鋼の水素脆化評価に適切な水素添加方法を探るため、異なる鋼種の試料に異なる方法で水素を添加し、昇温脱離分析で得られる水素熱脱離曲線及び添加水素量について評価した。本発表は、その研究会での成果に関する一連の最終報告の一部である。発表では、ISIJ International誌に掲載が決定している論文の内容を中心に、低合金鋼の水素熱脱離曲線の数値シミュレーションによる考察について講演する。特に、熱脱離曲線を形成する脱離水素を捕獲する鋼材中の欠陥の種類に対する考察、及び実験によるその同定方法について、より詳細に解説する。
海老原 健一
「水素脆化研究の基盤構築」研究会報告書, p.103 - 108, 2013/10
応力腐食割れの原因の1つと考えられる水素脆化の機構を理解するには、鋼材中の水素の偏析状態(水素存在状態)の同定が不可欠であり、昇温脱離解析(TDA)はその有効な実験的手法のとして広く用いられている。TDAでは、一定割合で加熱した水素を含む鋼材試料からの脱離水素の測定で得られる試料温度と脱離水素量との関係(熱脱離曲線)を、水素存在状態の同定に用いる。熱脱離曲線には、水素を捕獲する欠陥の情報のほか、水素拡散の情報や実験条件の情報が含まれるため、数値シミュレーションによる熱脱離曲線の解釈が必要となる。本発表では、水素熱脱離曲線のシミュレーションの基礎的事柄の解説を目的とし、計算モデル及びそのモデルによる計算例を紹介する。また、計算パラメータの熱脱離曲線への影響及び数値計算法について解説する。さらに、実際には可能性が考えられるが従来報告がほとんどない条件での熱脱離曲線の計算例を示し、TDAシミュレーションの今後についてまとめる。